世界のトレンドは「気候正義」

9月23日に国際連合で気候行動サミットが開催されましたね。

日本は、安倍首相と小泉環境大臣が出席していますが、発言の機会を与えられていません。

京都議定書の推進国である日本がリーダーシップを取れないのは何故でしょうか。

 

 


 

スウェーデンの16歳少女が欧米に市民運動を巻き起こす

テレビでも報道されていますが、スウェーデンの16歳少女が演説で「世界各国の首脳の環境を取り戻す責任がある」ことを必死に訴えています。

先日、スイスでアルプス山脈の氷河が失われていくことに対して、住民が氷河にお別れの会を開いているのが報道されました。

南極大陸の氷河が溶け南太平洋の島々が毎年水没の危機にあり、北極圏ではホッキョクグマをはじめとする生態系に大きな影響を与えています。

 

石油・石炭の化石燃料をエネルギーとすることで排出される二酸化炭素により地球温暖化現象が進んでいますが、このまま放っておけば取り返しがつかないことになります。

石油の埋蔵量があと数十年で枯渇するとも言われ、石油をエネルギー源とする時代はもう終わりに近づいているとはいえ、地球環境の破壊を今止めなければ、元に戻せないほど深刻化していることをどれだけの人が認識しているのでしょうか。

 

スウェーデンをはじめとする北欧やドイツなどのヨーロッパだけでな国々は酸性雨の被害によって森林破壊が進んでいます。

枯れ木だけで湖や沼には生き物が生存しない死に絶えた森林がたくさんあるのです。

酸性雨も自動車の排気ガスや工場の排煙、あるいは火山ガスに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物が雨に溶けて被害をもたらします。

自動車の排気ガスも工場の排煙も石油を中心とした化石燃料の使用によって発生させられます。

 

日本が石油よりは埋蔵量が多いと言われる石炭を使って火力発電を推進し、ベトナムやインドネシアに技術援助していることは、地球環境の破壊に勢いをつけているようなものです。

そうした日本でも、熱帯低気圧が近海で発生し台風が本州を直撃したり、何十年かに1度の大雨が降ったり竜巻により被害などが起こり異常気象が起きています。

 

スウェーデンの16歳少女が巻き起こした市民運動は、ヨーロッパからアメリカに広まりつつあります。

気候正義とは、私たちが次世代のために地球環境を守り以前のような環境を取り戻すために努力する責任があるという意味です。

その中で日本がとる立場を政府だけでなく国民のひとりひとりが考えなければならない時期に来ているのはないでしょうか。

 

 

日本の京都議定書の行く先は

京都議定書は、1997年に開催された地球温暖化防止京都会議において、参加した先進国全体に対して温室効果ガス(二酸化炭素)の削減目標を提案して採択されたものです。

京都議定書が採択された前には、1992年にブラジルのリオデジャネイロで「環境と開発に関す国際連合会議(地球サミット)」が開催されました。

この地球サミットでは、「持続可能な開発」を旨とする各国及び国際機関が実行すべき行動計画(アジェンダ21)が採択され、国連気候変動枠組条約が締結されました。

そして、国連気候変動枠組条約の締約国会議(COP)が定期的に開催されるようになりました。

 

地球温暖化防止京都会議はCOPの第3回目にあたり、京都議定書は国連気候変動枠組条約の内容をさらに押し進め、温室効果ガスの削減目標を定めたものとしては世界初の取り決めです。

具体的には、2008年から2012年の間に、1990年比で温室効果ガスを約5%削減することですが、各国によって目標の数値が異なります。

EUは8%、アメリカ合衆国は7%、日本は6%の削減目標です。

 

京都議定書は京都大学の教授ら中心になって作成されたものであり、議長国である日本は世界のお手本となるべき国です。

日本は、削減目標の6%を当然達成することができましたが、アメリカ合衆国がこの目標値を批准せず地球サミットから離脱しました。

その理由として、温室効果ガスの削減がアメリカ経済の成長を阻害すること、途上国には削減目標が設定されておらず、各国間で目標値の差異があり不公平であること、などでした。

温室効果ガスの排出量が世界各国で違い、今までの地球環境を悪化させてきたのはアメリカ合衆国を初めとした先進国です。

それにもかかわらず、地球環境を悪化させた責任を負うべきことを直視しようといないのは、まったく無責任な態度です。

 

これに対して、2004年にロシアが京都議定書に批准したことから、京都議定書の有効性が改めて世界に追認されました。

そして、京都議定書の二酸化炭素削減目標が2008年から2012年の間であることから、2005年に「2013年以降」について、批准国は再び話し合うことが京都議定書の中に書かれていました。

 

 

アメリカのトランプ大統領は「パリ協定」から離脱表明

ここ10数年の間に京都議定書には削減目標が設定されていなかった中国やインドなどが急速に工業化をとげ、大量の二酸化炭素を排出しています。

京都議定書の批准国の間では、後進国も含めて二酸化炭素の削減目標を改めて話し合わなければならないという声が高まってきました。

しかし、2009年にデンマークで開催された国連気候変動枠組条約の締約国会議(COP)では各国間の意見の相違から新しい合意にいたらりませんでした。

その後に開催されたメキシコ、南アフリカのCOPで交わされた合意に基づいて各国の交渉のテーブルができあがりました。

 

そして、ようやく2015年のパリで開催されたCOPにおいて、2020年以降にすべての国が参加する新たな枠組みとして「パリ協定」が成立し、新しい国際的枠組みが誕生しました。

パリ協定は、先進国だけでなく途上国を含むすべての国が参加できる門戸の広い協定です。

具体的には、各国が自主的に温室効果ガス排出量の目標値を設定し定期的な見直しをし、今世紀末までに排出量を実質ゼロにまで減らし、長期的には気温の上昇幅を2℃未満、できれば1.5℃以内に収めることが目標とされました。

 

ここまで世界の足並みがそろうまでも地球環境は悪化の一途をたどっています。

しかし、アメリカのトランプ大統領は突如「パリ協定」の批准を離脱を表明しました。

アメリカ国内でも批判が多いところですが、トランプ大統領の独断で離脱表明がなされた疑いが濃厚です。

ただし、アメリカがパリ協定から離脱できるのは2020年11月以降と規定で決められています。

 

この時期にパリ協定の批准離脱を表明したトランプ大統領の意図としては、2020年次期大統領選を見越してのことだと言われています。

それは、現在のトランプ大統領の支持層の多くは、石炭や石油の化石燃料を大量に消費する重化学工業の企業営者や労働者たちから成り立っています

そこで、このまま「パリ協定」を批准して温室効果ガスの削減に努力すれば、それらの支持層が離れていくと考えたのであろうと見られています。

今や温室効果ガス排出量が最大の中国、そしてインドなどの途上国もパリ協定に批准しています。

その中で、世界のリーダーシップをとるべき国の大統領が、自分が選挙に当選するために地球環境の破壊に対して無責任な態度をとることは、もはや許されないのではないでしょうか。

 

 

協力的でないアメリカと日本は協調路線をとるのか?

9月23日に開催された国連気候行動サミットで日本は議長国を依頼されたが、引き受けなかったことが明らかととなりました。

外務省は「6月28日・29日に開催された20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の準備に集中するため」と説明しています。

また、今回の国連気候行動サミットが国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏主導で各国に温室効果ガス排出量の削減目標の引き上げを求められました。

そうした背景の中で、わが国は目標見直しの議論がほとんど進まなかったことから、政府内には「議長を務めるのにはふさわしくなかった」との見方もあります。

日本はパリ協定で「2030年度に2013年度比で26%減」との目標を掲げていますが、その目標から引き上げるための議論は進まなかったということです。

 

それだけでなく、日本がベトナムやインドネシアなどの東南アジアの諸国に対して石炭を使用した火力発電の資金援助をしているため、温室効果ガス削減と逆行した動きをとっていることが議長国として適任でなかったと言えます。

安倍首相も小泉外相も国連気候行動サミットで発言の機会を与えられなかったのは当然と言えるでしょう。

一方、アメリカのトランプ大統領はサミットに一時来場はしたようですが、出席はしなかったのはパリ協定の批准を離脱したのであれば当然の流れでしょう。

トランプ大統領は多国間の話し合いよりも二国間の首脳会談で話を進めようという意図があるようですが、石炭・石油産業を支持層に多く持つトランプ大統領と日本が協調路線をとることは断じてあったはならないことです。

 

中国とロシアがキャスティングボート

今回のアントニオ・グテーレス氏主導の国連気候行動サミットが、ノルウェーの少女の演説から始まった市民運動を背景に開催されたので、ヨーロッパの各国の首脳はパリ協定で定めて温室効果ガスの削減目標を引き上げて出席しました。

ドイツのメルカケル首相は2030年までに55削減、欧州連合やイギリスは2050年には実質排出量0の目標を掲げました。

ヨーロッパは地球温暖化の他にも酸性雨の問題もありますので、環境破壊に対して深刻な状況にあり、各国が積極的にとり組むことはとても良いことです。

当初、中国は京都議定書では温室効果ガスの削減目標すら決められておらず削減目標の設定に非協力的でした。

中国が資本主義を導入して工業化を進めており今世界最大の温室効果ガス排出国となっているのですから、中国が率先して地球温暖化を食い止めていくことが強く求められます。

国連気候行動サミットで中国国家主席代理が温暖化対策を加速することを発表したことは評価したいです。

そして、先進国では京都議定書に最後に批准したロシアが何処まで協力的になれるかも大きな鍵を握っています。

人口も面積も世界第3位のアメリカ合衆国が非協力的であるならば、世界最高の人口の中国と世界最高の面積のロシアがリーターシップをとって、途上国を巻き込みながら地球環境の保全に努力することが、「地球正義」の実現にとって大きな課題だと言えます。

 

 

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